こんにちは。
つくばテーブルゲーム交流協会代表のまさです。
ボードゲームの紹介4作目は「どうぶつしょうぎ」。
7月のゲームです!

作品:どうぶつしょうぎ
ただのビギナー将棋じゃない読みの深さに感激

製作年:2009
製作国:日本
作者:きたおまどか
作画:ふじたまいこ
人数:2人
時間:5分~
年齢:4才~
難易度:かんたん
コンポーネント:駒8枚、しょうぎ盤、あそびかたブック


遊び方

どうぶつしょうぎは3×4マスのとても小さな将棋です。玉将にあたるコマはライオン動きも玉将と同じです。ライオンの右にはキリンを、左にはゾウを、前にヒヨコを置いてゲームが始まります。このゲームでは1手目から駒を捕まえることができます。捕まえたコマは持ち駒となり、盤面に打ち込むことができますが、このルールを一手目から教えることができるのは、教える側としては非常にありがたいところです。どうぶつしょうぎでゲームが終わるタイミングは2つあります。1つはライオンを捕まえたときです。将棋と同様捕まえた人が勝ちになります。もう1つはライオンがトライすることです。ラグビーのようにライオンが敵陣に入り敵の駒に捕まえられなければ、トライした人の勝ちになります。

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ココが面白い―初めて遊ぶ方へ

パッと見とても単純なゲームであるように見えます。しかし、将棋を少しでも指したことのある人がこのゲームに触れれば、少し違ったイメージを持つでしょう。盤面全体を広くみることと、より先まで手を読むことは、棋力を図るうえで非常に重要な能力です。どうぶつしょうぎはこのうちの「読み」に特化したゲームといえるかもしれません。盤がとても狭いため、1つの局面において有用な手は4つほどに限られる場合が多く、普通の将棋よりも「読み」が格段にやりやすくなっています。どうぶつしょうぎは将棋に触れたことのない人にぜひ触れてもらいたいゲームです。

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勝負へのこだわり―負けず嫌いのあなたへ―

盤面を見てまず初めに考えることは、相対するヒヨコをいかに処理するかです。初手でとることができますが、これはあまりおいしくないかもしれません。ヒヨコをとって取り返すとした場合、先手の駒がすべて最下段にある一方で、後手は2段目に進出している状態になります。将棋型ゲームの形成判断は、駒の損得と盤面特に中央の制圧状況によって行うのが一般的で、将棋では五段目の位取りを、チェスではセンターの4×4マスの支配を目指します。このセオリーに基づくと、初手でヒヨコをとるのは早計であるような気がしてきます。ヒヨコ交換から始まる指し手をあまり経験したことがないので、詳しいことはわかりませんが…。
ところで、実はどうぶつしょうぎの研究をした論文がありまして、ゲーム木(中学数学の確率で出てくる樹形図みたいなものです、局面変化の総数)が将棋とかより小さいだろうから、計算可能なんじゃないかと思ったようです。田中哲郎さんの研究で「『どうぶつしょうぎ』の完全解析」が論題です。これによると互いに最善の手を続けた場合78手で後手勝になるそうです。解析には5.5時間かかったそうで、PCお疲れ様ですね。必勝手順を覚えたところで指し手が変化すれば異なる対応が必要になるわけで、一般人がゲームを楽しむうえではあまり役に立たないかもしれません。論文内には他にも面白い報告が上がっていて、敵陣へのヒヨコ打ちが有効な場合などについて紹介しています。

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育まれる力―家族で遊ぶときに―
あらゆるボードゲームにおいて先を読むことが必要とされますが、どうぶつしょうぎはその最も顕著なものといえるでしょう。先を読むこととは、自分に都合のいい未来を想定することではありません。相手の手番にはもし自分だったらどの手を選ぶかを同時に考え、自分の手番にも自分の指し手に相手はいかに応じるか、相手が今何をしたいのかを考えるのです。その意味でこのゲームは互いを称え合うゲームだといえます。子供たちにとって、他己の存在を強烈に自覚する初めての経験になるかもしれません。


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